CADやCAEソフトを増やしたいのに予算がない?エンジニアリングソフトウェアを最適化する運用方法
製造業の設計・解析部門からよく聞く声から考えてみました。
「CADやCAEソフトを増やしたいが、予算がない」。
シミュレーションや設計の高度化が進む中で、
- 解析をもっと回したい
- 設計者全員にCADを使わせたい
- MATLABやCAEをもっと活用したい
という要望は増える一方です。
しかし現実には
- ライセンス費用が高い
- 年間保守費用が重い
- IT予算が増えない
という問題があり、簡単にはソフトウェアを増やすことができません。
このような状況で重要なのは、「ライセンスを増やす」ことではなく、エンジニアリングソフトウェアを計画的に最適化する運用です。
CAD・CAEソフトは設備投資に近い
エンジニアリングソフトウェアは一般的なITツールとは性格が異なります。代表的なツールの価格は次のような水準です。
- CAD:200万〜800万円
- CAE:500万〜1000万円
- シミュレーションソフト:数百万円〜
さらに保守費用として年間20〜25%程度が発生します。
そのため一度導入すると長年見直されないケースが多いのが実情です。しかし企業の中では次のような状況がよく見られます。
- 100ライセンス保有しているが同時利用は30〜40程度
- 部署ごとに個別にソフトを導入している
- 保守契約を惰性で更新している
- 実際の利用状況を誰も把握していない
これは設備投資で例えると、**「工場に機械を100台置いているが、何台動いているか分からない」**のと同じ状態です。
エンジニアリングソフトウェアの最適化運用
私たちが提案しているのは、定期的にソフトウェア環境を見直す運用モデルです。
ソフトウェア選定は3年ごとに見直す
エンジニアリングソフトは
- ベンダー統合
- ライセンスモデル変更
- クラウド化
など環境が大きく変化しています。そのため3年ごとにソフトウェア選定を見直すことが重要になります。
この際に重要なのは、単純な比較ではなく
利用状況と機能の両方を踏まえて、今後3年間利用するソフトウェアを集約することです。
例えば次のような観点で整理します。
- 似た機能のCAEソフトを複数利用していないか
- 実際には一部の機能しか使っていないソフトがないか
- 同じ解析が別のツールで実施されていないか
このプロセスにより、ツールを減らすのではなく必要なソフトに集中投資することが可能になります。
CAEソフトには「習熟コスト」がある
ここで重要な注意点があります。
CAEソフトウェアは単なるITツールではなく、高度な専門ソフトウェアです。そのためライセンス費用だけでなく、次のような**習熟コスト(トレーニングコスト)**が発生します。
- トレーニング費用
- 習熟時間
- 解析ノウハウの蓄積
- 社内教育体制の整備
例えば
- 新しいCAEソフトを導入する
- 別ベンダーのツールに変更する
といった場合、エンジニアが使いこなせるようになるまで数か月〜数年かかることもあります。
そのためCAEソフトは単純に
「安いツールに乗り換える」
という判断ではなく、エンジニアの習熟コストを含めて評価する必要があります。
この観点からも、CAEソフトウェアの種類を必要以上に増やさず、適切に集約することが重要になります。
毎年の利用状況レビュー
もう一つ重要なのが毎年の利用状況レビューです。レビューでは次の項目を確認します。
- 同時利用数
- ピーク使用率
- 未使用ライセンス
- ライセンス不足(Denial)
- 部署ごとの利用状況
これにより
- 不要なライセンス削減
- 不足ライセンスの追加
- 部署間の再配分
が可能になります。
多くの企業では、ライセンスを追加する前に既存ライセンスの再配置だけで改善できるケースも少なくありません。
外注化できる解析業務の整理
もう一つ見落とされがちな視点があります。それは利用頻度の低い解析業務の外注化です。
例えば
- 年に数回しか実施しない解析
- 特殊なシミュレーション
- 専門知識が必要な解析
などです。
これらを無理に社内でライセンス保有するのではなく、
- 解析会社
- 技術コンサルティング
- CAEサービス
に外注することで、ライセンスコストを削減できる場合があります。
今後3年間のライセンス契約を整理する
もう一つ重要なのは、ライセンス契約の将来計画を整理することです。
具体的には次のような項目です。
- 現在のライセンス契約内容
- 保守契約の更新時期
- ベンダーのライセンス変更予定
- サブスクリプション化の予定
最近は多くのソフトウェアベンダーが
- サブスクリプション化
- トークンモデル
- クラウドライセンス
へ移行しています。
そのため向こう3年間の契約内容を整理しておくことは非常に重要です。
エンジニアリングソフトウェア費用の全社レポート
さらに重要なのは、エンジニアリングソフトウェア費用を全社視点で可視化することです。
多くの企業では
- 設計部門
- 解析部門
- IT部門
などで予算が分散しています。その結果、企業全体で
「エンジニアリングソフトにいくら使っているのか」
が把握されていないことがよくあります。
そのため
- ソフトウェア費用の推移
- 保守費用の増加
- 新規ライセンス導入
などを整理し、エンジニアリングソフトウェア費用の全社レポートとして経営層に共有することが重要です。
エンジニアリングソフトウェアのコスト最適化コンサルティング
こうした取り組みは、エンジニアリングソフトウェアのコスト最適化コンサルティングとして体系的に実施することが可能です。
具体的には次のような内容です。
- CAD / CAEライセンス棚卸
- 利用ログ分析
- ソフトウェア選定見直し
- 外注化可能業務の整理
- ライセンス構成最適化
- ベンダー契約レビュー
- 全社ソフトウェア費用レポート作成
これにより
- ソフトウェアコスト削減
- 設計・解析環境改善
- IT投資の最適化
を同時に実現することができます。
まとめ
CADやCAEソフトを増やしたいのに予算がない場合、次の運用を導入することが重要です。
- 3年ごとのソフトウェア選定見直し
- 毎年の利用状況レビュー
- CAEソフトの習熟コストを考慮したツール集約
- 外注化可能業務の整理
- 今後3年間のライセンス契約整理
- エンジニアリングソフト費用の全社レポート
エンジニアリングソフトウェアは、企業の開発力を支える重要な基盤です。だからこそ、可視化と定期レビューによる継続的な最適化が必要になります。
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