広くエンジニアリングソフトウェアに関して考えてみました。
はじめに:なぜ今、日独中の製造IT比較が重要なのか
製造業のDXが加速する中で、CAD・CAM・CAE・PLMといったエンジニアリングITはグローバル競争力に直結する領域となっています。今回は、日本・ドイツ・中国という3大製造大国における、これらの分野の導入状況や技術傾向を比較し、各国の戦略と今後の方向性を読み解いてみます。
CAD:3D化率とMBD対応に見る成熟度の差
日本では2D図面文化が根強く残る一方、ドイツは早期から3D CADとMBD(Model Based Definition)への移行が進み、高い設計効率とデータ連携を実現。中国は急成長中で、国産CADの育成や海外製ツールの導入も並行して進んでいます。
CAM:加工工程の自動化・標準化の違い
ドイツはCAMの工程最適化と標準化が非常に進んでおり、CADとCAMがシームレスに連携しています。日本では金型や試作を中心に熟練加工者のノウハウが重視され、属人的な運用が多い傾向。中国はCNC連携やAI化を背景に一気に近代化を図っています。
CAE:設計現場に浸透するかがカギ
日本ではCAEは品質保証の一環として使われがちで、設計部門への展開は限定的です。ドイツでは設計者CAEが当たり前になっており、SimcenterやAltairなどの統合ツールが活躍。中国は国家主導で解析技術者を育成し、若手エンジニアによる積極活用が進行中です。
PLM:製造業DXの中核となる統合基盤
PLMに関してはドイツが先行しており、SAPとのERP連携を前提とした統合型PLMが大企業で定着。中国は「製造2025」などの国家政策により、国産PLMの普及とERP統合が一体で進んでいます。日本ではExcel文化の名残もあり、分断されたPLM導入が課題として残っています。
補足:各国の人口と製造業従事者数
人口規模では中国が圧倒的(約14億人)で、製造業従事者数も約1億人と世界最大級。日本は約1,000万人が製造業に従事し、技術伝承が課題。ドイツも約790万人で効率的な人材活用が特徴です。
まとめ:日本が学ぶべきポイントと今後の展望
- PLMやCAEの現場展開(設計者活用)
- CAMの標準化とデジタル連携強化
- CADのMBD移行と3Dデータ主導の設計プロセス整備
今後の日本の製造業がグローバル競争に勝ち残るには、ドイツの統合思想や中国の急速なデジタル化から学ぶべき点が多いのではないでしょうか。勝ち残りのためにITツールの利用状況からデジタルに状況を把握する方法が必要だと感じています。そのために当社はOpenLMの代理店になりました。