製造現場は“見えている”のに、設計部門は“見えていない”

「見える化」は製造現場では当たり前の取り組みになりました。
しかし、設計・解析といったエンジニアリング領域では、依然として“見えない”領域が多く残されています。

製造現場で進む「見える化」の進展

先日参加したMortion Boardセミナーでは、製造現場における「見える化」の進展を肌で感じました。
生産ラインの稼働率、品質データ、設備トラブルの傾向などがリアルタイムで可視化され、現場がデータを基に判断・改善を行う仕組みが定着していました。

現場リーダーが数字を見ながら改善策を考え、経営層がそのデータを基に投資判断を行う。 「見える化」は単なるモニタリングではなく、組織全体の意思決定を支える“共通言語”になっていると感じました。

※ 製造現場の見える化のベースとなるデータがどのように収集されてきたのかについては、別の機会に整理してまとめたいと思います。

一方で進まない──設計・エンジニアリング領域の「見える化」

対照的に、設計・解析・シミュレーションといったエンジニアリング領域では、まだ「見えない世界」が多く残されていると感じています。 たとえば、以下のような問いに対して答えられる企業は意外に少ないのではないでしょうか。

  • 設計・CAEソフトウェアの利用率はどれくらいか?
  • どのライセンスが誰に、どれだけの時間使われているのか?
  • 費用対効果は測定できているか?

高価なCADやCAEライセンスは「必要だから購入する」一方で、実際の稼働実態や利用効率は曖昧なまま放置されがちです。 こうした状態では、どんなに優れたツールでも経営的な“資産”としての価値を発揮できません。

なぜ設計部門の見える化は進まないのか

原因はいくつか考えられます。 第一に、エンジニアリング領域は業務が専門的であり、経営層やIT部門から見ると「中身がわかりにくい」こと。 第二に、ツール利用の単位が個人や小規模チームに閉じており、利用状況を全体で把握する仕組みがないこと。 そして第三に、ソフトウェアの運用データを分析する文化の問題かもしれません。

つまり「データがないから改善できない」という悪循環が、設計領域の“見えない壁”を作っていると考えています。製造現場ではこの10年間に IoTや Industry 4.0などの取り組みでデータ化が進んできたこと対比しています。

設計部門の見える化がもたらす経営インパクト

設計・解析ツールは、製品の性能や開発スピードを決定づける重要なインフラです。 にもかかわらず、そのコストと稼働実態が見えなければ、企業のROI(投資対効果)を正しく評価することはできないのではないでしょうか。

また、利用の偏りや未使用ライセンスの存在は、単なるコスト問題にとどまらず、 「必要な人にリソースが行き届かない」「開発が滞る」といった機会損失を生む要因にもなります。

製造現場で「稼働率」を見える化して改善が進むように、 設計部門でも「ツール稼働率」を定量化すれば、部門間での最適配分やコスト改善につながるはずです。

“見える化”を設計領域にも──OpenLMがもたらす新しい視点

OpenLMは、CAD・CAE・EDAなどのエンジニアリングソフトウェアのライセンス利用状況を可視化するプラットフォームです。 誰が、いつ、どのツールを、どれくらいの時間利用しているのかをデータとして把握し、 「遊休ライセンスの発見」や「最適なライセンス数の設計」を支援します。

これにより、現場の利用実態を経営判断に結びつけることが可能になります。 設計現場の“見える化”は、単なるITの効率化ではなく、 開発力と経営の生産性を同時に引き上げる経営施策へと進化します。

「見える化」の本質は、気づきと行動を生むこと

「見える化」は単にデータを表示することではありません。 共有された情報から現場が気づきを得て、行動が変わること──そこに本質があります。

これまで製造現場で磨かれてきた見える化の知恵を、今度はエンジニアリング領域に広げる時です。 設計の“見える化”が進めば、企業の知的生産性は確実に次のステージへと進化し企業全体の生産性を向上させると思います。

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