OpenLMによるライセンス運用高度化

BI(見える化)・BA(要因分析)・PA(予測分析)の活用アプローチ

最近、AIとAnalyticsに関するセミナーを受けました。OpenLMやライセンス管理に直接は関係なくどちらかというとBtoCのマーケティングに対して分析手法を解説するものでしたが、OpenLMの運用高度化の観点にその学びを重ね合わせてまとめてみました。
BI,BA,PAを分けて考えることの重要さを再確認しました。

1. はじめに

製造業・CAE業界を中心に、エンジニアリングソフトウェアのライセンスコストは年々増加傾向にあります。

特に、

  • CAE解析ライセンス
  • CFD解析
  • 構造解析
  • 電磁界解析
  • 大規模シミュレーション環境

などでは、1ライセンスあたり数百万円規模となるケースも珍しくありません。

一方で、多くの企業では「ライセンス不足」という現象に対し、実際にはピーク時の不足に対して追加購入が検討されるのではないでしょうか。

本レポートでは、OpenLMを活用したライセンス運用高度化の観点から、

  • BI(Business Intelligence)
  • BA(Business Analytics)
  • PA(Predictive Analytics)

の違いと活用価値について整理します。


2. ライセンス管理における課題

ライセンス管理の現場では、以下のような状況が発生しています。逆に発生していないとすると、過大なライセンスを保有していたり、特定の部門だけが不足するなどの状況も考えられます。

2.1 ライセンス不足の慢性化

利用者から、

  • 「利用したいタイミングで取得できない」
  • 「解析ジョブが開始できない」
  • 「設計業務が停止する」

という声が継続的に発生します。

しかし実際には、

  • 一時的ピーク
  • 特定部署への偏り
  • 長時間保持
  • 放置セッション

などが原因であるケースも少なくありません。


2.2 投資判断の困難さ

高額ライセンスの追加購入に対し、

  • 本当に必要なのか
  • 何本追加すべきか
  • どの製品が不足しているのか

を定量的に説明できないケースが起こっているのではないでしょうか。

結果として、下記のような状態になってしまうかもしれません。

  • 過剰投資
  • 不足状態の継続
  • 部門間対立

3. BI(Business Intelligence)

― 現状の可視化

BIは、現在の状況を定量的に把握するための仕組みです。

OpenLMでは主に以下の情報をリアルタイムに可視化できます。

  • 同時使用数
  • Peak利用数
  • Feature別利用率
  • ユーザ別利用時間
  • 部門別使用量
  • 時間帯別推移
  • 未使用ライセンス
  • Denial(取得失敗)状況

例えば、

「毎日14時〜16時に利用率が95%を超える」

という状態を把握することがBIです。

これは従来の“感覚的な運用”から、“データに基づく運用”へ移行する第一歩となります。

OpenLM Platformでは、

  • Power BI Desktop (OptionのReporting HUB)

などを利用した分析基盤構成も可能です。


4. BA(Business Analytics)

― 要因分析・改善分析

BIが「何が起きているか」を示すのに対し、BAは「なぜ起きているか」を分析します。

例えば、

BIで見える状態

  • Peak使用数:48
  • Denial発生:14時台
  • 利用率:98%

ここまでは多くのツールで実現できます。

しかし、BAではさらに踏み込み、

  • 誰が利用しているか
  • どの部署が集中利用しているか
  • どのPCが長時間占有しているか
  • 解析ジョブか対話利用か
  • 利用終了後に解放されているか

を分析します。


4.1 BAによる改善例

分析の結果、

  • 自動解析サーバが大量占有
  • 一部ユーザによる複数保持
  • 夜間バッチとの競合
  • 不要な起動放置

などが判明するケースがあります。

この場合、追加購入ではなく、

  • 運用ルール変更
  • スケジューリング改善
  • 部門別制御
  • 利用教育

によって改善できる可能性があります。


4.2 BAがもたらすROI

例えば年間1億円規模のライセンス契約に対し、16%の最適化が実現できた場合、

年間約1,600万円のコスト削減効果となります。

この場合、OpenLM導入費用を短期間で回収できる可能性があります。

重要なのは、

「ライセンス不足=購入」

ではなく、

「ライセンス不足=分析不足」

であるケースが存在する点です。


5. PA(Predictive Analytics)

― 将来予測

PAはさらに一段上の分析です。

過去データを基に、

  • 将来的な不足
  • 増設タイミング
  • 部門拡張影響
  • 新規プロジェクト影響

などを予測します。


5.1 PAの活用イメージ

例えば、

  • 設計者30名増員
  • 新規CAE導入
  • 海外拠点展開
  • AI解析増加

などが予定されている場合、

「半年後にSolverライセンスが不足する」

という予測が可能になります。


5.2 PAの経営的価値

PAは単なるIT運用ではありません。

  • 投資計画
  • 部門予算
  • 調達計画
  • グローバル展開

に直結するため、経営判断材料として利用されます。

これは従来の“ライセンス監視”とは大きく異なる領域です。


6. BI・BA・PA の違い

分類主目的主な問い
BI状況把握今、何が起きているか
BA原因分析なぜ起きているのか
PA将来予測今後どうなるのか

ここで、ライセンスコストの高騰や解析需要増加を考えると、今後はBA・PAへの移行が重要になると考えられます。


7. OpenLMの価値

OpenLMは単なる監視ツールではなく、

  • 利用データ収集
  • 可視化
  • 分析
  • 最適化
  • 将来予測

へ発展可能なプラットフォームです。

特に製造業では、

  • CAD
  • CAE
  • CFD
  • PLM
  • シミュレーション

などの高額ライセンス資産を対象とするため、分析による効果が非常に大きくなります。


8. まとめ

ライセンス管理は、

何本契約しているか」ではなく、「どのように利用されているか」を分析する時代に変わりつつあります。

OpenLMを活用することで、

  • BIによる可視化
  • BAによる要因分析
  • PAによる将来予測

を段階的に実現でき、ライセンス運用を“管理”から“経営最適化”へ進化させることが可能になります。

今後、エンジニアリングソフトウェアの利用がさらに高度化・高額化する中で、データドリブンなライセンス運用の重要性は一層高まると考えられます。



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